大手ラジオ局インターネットでのサイマル放送開始へ ※ただし聴ける地域は限られる。

  • 悲願達成に向けての第1歩が始まる 遅すぎた第1歩だが確実な歩みへ…

大手民放ラジオ13社、ネット同時放送解禁へ:日経ビジネスオンライン
民放ラジオ、ネット同時放送解禁へ | スラド
好きなラジオをいつでもどこでもクリアに聴取できる。これが私の悲願です。それに向けていいラジオを探し、録音機の情報には目を光らせ、大陸からの電波に耐え、アンテナを購入or自作し、クリア受信、遠距離受信に挑んできました。しかしそれらにも電波を使うメディアである以上限界がありました。これらのような技術的問題に加えて法律や権利的な問題もあり「クリアなラジオ聴取にはその放送区域の状態のいいところに行かなければならない」というのが、いわば古いラジオの聴き方でした。
しかしインターネットとデジタル機器の発達は技術的問題をすべて消し去ったのでした。放送をインターネットで行えば混信もなく全国、全世界のラジオを聴取することが可能になります。それを妨害していたのは単純化すれば法律と権利の問題でした。これによりラジオ業界は「そこにある未来」を十分に活かせないまま、変化していったユーザーのコンテンツ消費との間に乖離が生じていきました。
その乖離を埋める第1歩としてのこの動きは遅すぎたと言えます。既にラジオを聴いているユーザーは減少、またそれによって広告売上も伸びず、現状ラジオを聴いていると一昔前と比べてまともなCMの数は減り看板コーナーのスポンサー名は消えていっています。加えてなんとかして番組でお金を稼ごうとラジオショッピングや携帯電話向けのコンテンツ製作などの時間が増え、聴いていてラジオ業界の「危機感」を日々感じています。また、家にラジオがないというなんとも不敬な話も珍しくない状況です。

  • ユーザーの拡大なしに復活なし

インターネットを用いた放送であればこれらの問題は確かに改善を狙えるでしょう。しかし本格的なラジオの復権には以下のことが必要不可欠であると本ブログでは主張します。
●ユーザー側の視聴環境はオープンであること
タイムシフト聴取が簡単に行えるようになること
●区域外でも聴取できるようにすること
今回の放送形態はFlashPlayerを使うとのことですので、比較的オープンな形式になっているといえます。ラジオ業界の復権のためにはまず、ユーザー層を拡大しなければならないため、聴取できる機器を限定してしまっては(特にWindows環境に限られるようなこと)すべてが水の泡になってしまいます。パソコンに限ればWindows環境優先であることは否定できませんが、デジタル家電やゲーム機、携帯電話、携帯メディア端末などコンテンツを扱うデバイス全体を見ると、今後ますます非Windows環境となっていくのは自明です。設備はともかく、ユーザー側がオープンな環境であればこれらでも扱いやすく、ユーザー側での機能搭載も簡単に行えるようになるでしょう。(テレビでラジオを見るなどということも現実味を帯びてきます。)
また、タイムシフト聴取…放送の保存が簡単に行えオーディオプレーヤーで再生できるようにすることも大切です。録音機能だけではなく、ポッドキャストでのサイマルなどリアルタイム視聴がしにくいユーザーもスキマ時間などでコンテンツ消費ができなければユーザーの拡大はかなわないでしょう。そのためにもDRMのようなコンテンツ利用を妨げる無駄なことは絶対にやってはいけません。(現在行われているデジタルラジオ試験放送において、放送コンテンツには著作権保護がされていますがあれほどコンテンツ利用に不便なものはありません。)
また、利用できる区域を絞る前時代にもほどがあるようなことをやめないことにはユーザー拡大などできるはずがないでしょう。CMが問題であるというならばその区域を限定できる技術を使えば放送区域ごとにCMをわけることなど簡単なはずです。(無駄な技術の有効利用w)地方メディアの衰退というのでえあれば、ラジオの夜間と地方FMは土日を除けば、番組は非常にローカルな話題を取り扱っています。それでダメならその情報は必要とされていない証拠でしょう。ラジオのローカルな話題は個人的に非常に好きなのですが、今は生き残りをかけて再編成も含めた動きもしなければ本当にメディア自体がなくなってしまう危機であると考えています。(地方新聞が生き残れるならばローカルラジオ局も生き残れると思います。)

  • ラジオとインターネット上のコミュニケーションは似ている

もともとラジオはインターネットと親和性が高いといえます。ラジオの基本的な作りである、パーソナリティーとユーザーとのタイムシフトあるいはリアルタイムなやりとりで番組を構成していくやり方はまさにインターネット的であり、実際に「放送メディアの中では」一番インターネットを活用しているといっても過言ではないでしょう。(メールはもちろんのこと、ネットラジオへの試みや、インターネットでの別放送展開など。ポッドキャストなどはこれらネットラジオの再定義であるとも言えるでしょう。)
”ながらコンテンツ消費”ができる数少ないメディアですし、現状は過小評価でしょう。