だれが「音楽」を殺すのか? 読了

今更ながらに購入し、読み終わりました。あの時代、2000年代前半の音楽市場にあった「もやっとした閉塞感」がうまく書かれている、音楽史的にも資料として価値のある良書だと思います。(実際懐かしかった。)
発売されたのは2004年だからすでに6年が経過しようとしています。あれから音楽業界がどのように変わったのかいったん振り返ってまとめる必要があると考えました。(日本に限る)
ごらんの有様だよ!!!
http://news4vip.livedoor.biz/archives/51525877.html
続・CD不況深刻化、オリコンシングル100位がついに500枚割れ…16位で3000枚未満、20位は2500枚台 - The Natsu Style
CD不況深刻化…2700枚台でオリコンシングル20位、100位は史上ワーストの523枚 - The Natsu Style
http://warasoku.blog18.fc2.com/blog-entry-1425.html
痛いニュース(ノ∀`) : 【音楽不況】 人気歌手のCDが全く売れず…浜崎20万枚、大塚愛14000枚、青山テルマ6000枚 - ライブドアブログ
shungo.arai - インタビュー記事「レコチョク社長今野敏博氏 - 頭打ち音楽配信テコ入れ」 (7/1付 日経産業新聞)
M4 (メディア批評日記) : 2009年 7月
「和製レコード会社が消える!?」長期化する音楽不況で業界存亡の危機……|日刊サイゾー
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/f87183f2040918e13fd0fd7bb48b7561/
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/190adbc299471ff1cc4afaff8b60715e/
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2010/03/cd-5fdf.html
http://wiredvision.jp/blog/yomoyomo/201003/201003111200.html
ナップスター、定額制楽曲配信など国内全サービス終了へ - ケータイ Watch
Napster日本版、5月末に終了 - ITmedia NEWS
コデラノブログ4 : 終わった… オレ終わったよママン - ライブドアブログ
今幕張メッセでやってる邦楽フェス「GO!FES」の客入りが凄いことになってる。 一方同じ会場の萌え博は… : 【2ch】ニュー速クオリティ
GO!FESは大成功だった!!
『GO!FES』というイベントがガラガラ過ぎて話題! 豪華アーティスト集結も無念 | ガジェット通信 GetNews
着うたアーティストに集客力は皆無!? 音楽イベント「GO! FES」が”歴史的な不入り”|日刊サイゾー
6年の間に音楽CDの音楽メディアとしての価値は完全崩壊。音楽データの入ったファングッズの1つになってしまい、頼みの綱であったはずの携帯電話向け音楽配信は早々に頭打ちとなってしまった。
以下は本の内容の現状まとめ

輸入権・・・懸念された輸入版洋楽CDへの影響は現状無いとは見えるが、引き続き監視の必要あり。しかしながら世界的なCD不況では適用へと動くことはできないかと。また、当初のお題目であったアジア市場からの還流CD対策も日本でのCD販売自体の縮小で効果があるのか不明と思えるのですが。
違法コピー問題・・・本の発売後、動画共有サイトが次々誕生し、急成長。さまざまな音楽がそこで触れられるようになり、最近ではレコード会社やアーティストも公式ページを持つように。そこまで紆余曲折はあったが、プロモーションとして積極的に活用されるようにもなった。もはや動画共有サイトが社会インフラ化したのであった。・・・あのP2Pをめぐった騒動はいったいなんだったのでしょうか。(P2Pでの違法な使い方は今でも取り締まりはあるが、動画共有サイトとの整合性がとれていない。)
CCCD問題・・・世の中の音楽の楽しみ方がDAPに移行。XCPによる業界の自爆もありつつ、問題は終焉した。(終焉の理由としてはユーザー環境の変化が主な理由だと思います。)が、SACDDVD-Audioへの移行は失敗。世の中の流れとして圧縮音源が主流となりCD-DA自体の地位も危うくなっている。
音楽配信・・・iTSがようやくスタートするもSMEはいまだに全面参入していない。他レーベルをみても、売れ筋の楽曲数は少なく、楽曲面の充実は今ひとつ。日本の音楽業界の切り札であった携帯電話向け配信も既存市場のリプレースになったに過ぎなかった。

結局のところ、ライトユーザー向けの市場構造を変えられなかったことが問題の本質といえます。購買層として育たず、ある一定の期間が過ぎた後、市場から離れてしまい継続した消費行動とならないこと。また、それにより配信側となる人材も少なくなること。(+少子化ですしね。)さらにはライトユーザー向けの市場構造であるためにヘビーユーザーが割りを食っているというのも見逃すわけにはいかないでしょう。業界と市場の根本的な問題であるために解決には一朝一夕では終わらないと考えています。つーか変われんのかこれ?
しかし、状況は悪いことばかりではないです。音楽メディアの高音質化は音楽配信で可逆や高サンプリングレートなどメディアに囚われずいくらでもやろうと思えばできるようになりました。ライブの価値は下がっていないように見られます。機材の性能向上と動画共有サイトの登場で、誰でも作品を作れて、「評価」を受けられる環境が整っていますし、ラジオ業界もようやくIPサイマル試験放送をスタートさせました。長い目で見れば・・・